二十七歩目-選ぶということ-
「人生は選択の連続だ」とはよく言うが、自分は今まで選択のなかった人生だとつくづく感じている
今まで、人生の岐路に立った時の選択は「将来の選択肢を増やす」ためのものしかなかった
選択した先に向かうほど、道は広がっていった
あれもこれもできる状態でいることが心地よすぎていた
縁日でみんながおもちゃのピストルやら焼き鳥やらを買って実際に満足している時、何も買わずに500円玉を手元に残して「くじも焼き鳥も、クレープだってなんでも買える」と実際には手にしていないものを空想で描くことに一番の喜びを感じているようなもの
実はそれは、後に何も残らない選択で、己の経験や人生の豊かさを貧弱にする行為でしかない
だけど、勿体無くて使えない
厳密に言うと、自分の力だけで得たものじゃないから、その尊さを感じて扱いに困る
粗末に扱える気概さえあれば、どんなに楽かわからない
でも、こんなだから「きっと何者にもなれない」んだろうな