二十八歩目‐泥舟‐
大学の三年間で、何を築いたか考えたけど……そんなにたくさんはないな、と
もちろん、友人のつながりとか社会人と話したりとか、学問の知識とかはある程度、たしなむ程度にはできたつもりだけども
結局、自分でも完成形がよくわからない「泥舟」をつくったんだという思いに至った
自分が使うにも、誰かに使ってもらうにも頼りなく
「この舟は、何が出来るの?」という問いかけには
「まぁ、とりあえず、舟にできそうなことはできます」
としか返せないような、質の落ちた器用貧乏さが取り柄のようなよくわからない物体で…
周りの豪華客船や、クルーズ、小奇麗なボートや、覚悟を決めて作ったであろう最強のイカダ舟には、見劣りどころの騒ぎではなく
コンセプトに欠ける、おんぼろな物体(笑)
ガラクタやゴミや産廃ではなく「泥舟」としたかったのは
漕ぎ出せばなんとかなるかもしれない、という期待と
まだこね直して、ほんとうに作りたいものになれるかもしれないという、愚かしさが、ないまぜだからです。